こんにちはー意識低い看護師のはむです
さて、我々精神科看護師、よく患者さんから操作されます
操作と言うと大分言い方悪いかもしれませんが、援助者が患者さんの思い通りの行動をしてしまうことはよくあったりします
これは精神科医療の場以外の一般社会でもよく発生している現象です
でも、看護師も含め「あれ?自分もしかして操作されている?」と気づける人は少ないです
なので今回は自分が援助対象から操作されていることに気づく方法というテーマで記事を書いてみたいと思います
精神科看護師はわりと気づくことが出来るのですが、それ以外の方は中々気づけない方も多いと思いますので、良かったら見ていただければなあと思います
目次
対人操作とは
さて、【他人からの操作】という仰々しい言葉を使っていますが、正確には【対人操作(他者操作)】なんて言葉がついております
【他者に、自分の思う通りに動いてもらいたい、自分の思っていることと同じことを思ってもらいたい】という意識・無意識から生じる行動だと言われています
対人操作で代表的なのは【境界性パーソナリティ障害】の方々です
(記事:境界性パーソナリティ障害の方への関わり方)
境界性パーソナリティ障害の方々の対人操作性に悩んでいる方々は多いですよね
対人操作は誰もが行っている
「他人を操作する人間なんているの?怖い」と思う方もいるかもしれませんが、これって普段の私たちでも平気で他人に対して行っている行為だったりします
例えば
・怒られたくないという感情から、人前でオドオドし、目の前の対象から怒られないことを狙った行為
・労働生産性を上げるため、部下に「頑張っているね!君はすごいよ!」と褒める行為
・悲しんでいる対象に、元気になってもらいたいと「つらいね」と慰める行為
・自分が「この人嫌いだわ」と思った対象がいたら、その嫌いな対象の周囲に対して悪口を吹聴し、貶めようとする行為
こんな場面どんなコミュニティでも見られる光景ですよね。これらの場面も広義の対人操作であると言えます
人間はお互いを操作しあう生き物なんです
だから別に、操作する事・される事に対しての不快さや嫌悪感を抱く必要はないとは思います
悪質・病的な操作もある
ただ、この操作に関して気を付けなければならない場面も存在します
他人からの操作が、あなたから何かを搾取することを目的としている時です
ここでいう搾取とは以下の5項目
- 金銭的な搾取(あなたのお金を奪おうとする)
- 時間的な搾取(あなたの時間を奪おうとする)
- 身体的な搾取(あなたという存在を利用しようとする)
- 精神的な搾取(あなたの両親を利用しようとする)
- 社会的な搾取(あなたの身分を利用しようとする)
こういった目的とした操作には注意を払う必要があるのかなぁと思います
悪質な、病的な操作をしようとしてくる人はこの世の中に数多く存在しています
この操作をする方は何も境界性パーソナリティ障害の方だけではありません。
他の精神疾患の方、診断のついていない方、DVを繰り出してくる方、悪徳業者なども積極的に搾取に向けた操作をあなたに行おうとします
「そんなの大丈夫だよ。私がひっかかるわけがない」と思っている方も多いと思いますが、それは今まであなたを操作しようとしてきた方々のやり口が下手くそだったってだけです
操作の上手な人は、対象に対して操作性を気づかれることなく、対象を操作します
言い方変えると【洗脳】です
誰しもが「今自分は洗脳を受けている」だなんて思いながら生きていません
低機能型操作と高機能型操作
操作にはいわゆる低機能型操作と高機能型操作に分けられます
これにも軽く触れておきます
低機能型操作:自分に援助者を求める傾向 自傷や希死念慮、物質乱用などを表出させ、自分に援助してもらうように仕向ける 自分に問題があることを認め、メンタルの援助を求める 見た目に分かりやすい 自分の内的な方向への行動化 高機能型操作:他人に援助が必要だと述べる傾向 自分の周囲が悪いと非難し、周りにこそ援助が必要であると主張する 自分に問題があることを認めず、メンタルの援助を求めない 見た目では分からない、分からせない 自分の外的な方向への行動化
操作の方向性には2種類あるんだよーって思いながら、以下を見てもらえればいいのかなと思います
あなたを操作する人はどんなタイプですかね?
悪質・病的な操作を受けている可能性がある場面4選
ということで、今回は意識低い精神科看護師が【悪質な操作を受けがちな場面】を書いていきたいと思います
小見出しに操作を受けている方の感情を書きますので、
医療従事者、友人、同僚、恋人、家族など当てはまることも多いと思うので良ければ参考にしてみてください
下記の場面に心当たりがあるのなら、もしかしたら悪質な操作を受け、搾取されているのかも?
それでは行ってみましょう
「この人には私がついていなければいけない」
目の前の対象に対して「この人には私がついていなければいけない」「この人は私でなければだめだ」「この人にこの援助が出来るのは私だけだ!」と思ったことのある方はいませんか?
全部が全部とは言いませんが、多くの場合それは対象が「自分だけを見て欲しい。自分だけを支援して欲しい」という目的で、あなたを操作にかかっているのかもしれません
対象はあなたに対して「君しかいないんだ、見捨てないでくれ」と直接的に、間接的に訴えかけ、あなたに依存していることを繰り返し伝えます
その依存心に対して「この人、私がいなきゃだめなんだ、かわいそうな人なんだ」と思い対象に対して過度な援助を行ったとき、もしかした対象は「あなたから支援を引き出すことが出来た」と意識・無意識下でシメシメとしているかもしれませんね
この操作を受けると自己肯定感が上がっちゃうのが厄介ですよね
DVを受ける配偶者の姿を想像された方が多いかもしれませんが、これ、医療の場でもよく見かける光景です
「あなたは優しい。あなただけが優しくしてくれる」と述べる患者さんに対して「この患者さんにさらに良い援助をしてあげたい、もっと優しくしてあげたい」と思う看護師も多いですよね。
これってその患者さんから看護師の範疇を超えた援助を引き出された時に多く見られる光景だと思います
本気で親切心でそう言ってくれる患者さんもいらっしゃるとは思いますが、それを言われて舞い上がり、看護の範囲を超えないようにするのも看護師の技術なのかなぁと思います
「私にはこの人しかいない」
上記の場面とは似たようで真逆な場面ですね。「私にはこの人しかいない」「私にはこの場所しかない」と思ったときは注意が必要です
これもDVを受けている配偶者に多いですよね
暴言暴力を吐きながらも「あなたには私しかいないんだよー」と言い続けることで、自己評価を下げ、依存させる行為です
この操作を受けている人の自己肯定感は上記とは逆に駄々下がりします
これも医療の場でよく見られます。看護師の場合だとナースステーションの中ですね
「お前は駄目な看護師だ。お前みたいな看護師を雇い続けられるのはこの職場だけだ。もっと忙しい他の職場でお前は働けない。あとね、お前のプリセプターを出来るのは私だけだ。他の看護師はお前の面倒なんか見ない」と新人看護師に繰り返し伝えることで「私はここでしか働けない、私を指導してくれるのはこの人しかいない」と思うようになります
入職したてで元々視野の狭い新人看護師に向けた、人材確保の手段であり、ストレスのはけ口の完成です
上記は極端な物言いで書きましたが、似たようなこと言われたことある看護師は多いんじゃないでしょうか?
あとこの操作、不安を煽る悪徳商法にもよく見受けられますよね。
「この人に、これやらなきゃいけないのヤダなぁ」
これも「この人には私がついていなければいけない」に似た感情なのですが、「えー、この人にこれしなくちゃいけないのやだなぁ」「この人にこんなことしなくちゃいけないの?」と思う場面も要注意です
分かりづらいかもしれませんが、要するに【本来、不必要な援助をいつのまにか自分がしなければならないという義務感を抱く】ということです
一般家庭でよく見られる光景は、義両親は健在なのに、義実家の家事を押し付けられてしぶしぶ従う嫁なのかなぁと思います
本来必要のない行為ですよね、これ
「嫁は夫の家に尽くす」という姑からの圧力に、関係性の面などから屈してしまい、いつのまにか自分がしなければならないことであると認識してしまい、嫌々嫁の仕事の範疇を超えた援助を行うということに従ってしまうのも姑から受けた操作と言えます
医療の場だと例えば
援助は終了しているのに、ADL自立している患者さんから「もっと長い時間、優しく、懇切丁寧に関われよ!!お茶くらい持ってこい!それがお前らの仕事だろうが!」と何度も怒鳴られて疲弊した看護師が、「あーこれしないと患者さん怒るからなぁ」と訪室時に嫌々お茶を持っていき【あの人お茶もっていかないと怒る】と皆に申し送ると言った場面がこれに当てはまるのかと思います
患者さんの対応法としては間違っていないのですが、この場面も看護師の範疇を超えた援助を引き出されている状態と言えますよね?
操作されてませんか?不要な援助をしてませんか?
「ああ、傷つけてしまった」
よくありません?「大して悪い事をしたつもりではないんだけど、なんだか傷つけてしまったみたいだ。申し訳ない事をした」って思う事
明確な非があったとは思えない行動を対象に行い、なぜか対象から負の感情を抱かれ、なぜか自分が罪悪感でいっぱいになることはよくありますよね
これって、対象が「もっと自分を見て欲しい」という目的で行った援助して欲しいと思うための操作か
もしくは「思い通りに動いてくれない貴方に対しての報復だ」という目的で行った相手を傷つけるために行った操作かどちらかですよね
罪悪感を抱くことは「今まで以上に丁寧に、親身になって援助しなくちゃいけない」という思いを生みやすいです
結果的に不必要な援助を引き出される結果になることも多いです
前述した「あなただけが優しい」と述べる患者さんに対して親身に関わった看護師が忙しく、その患者への対応時間が短くなった時「あなたはいつもこれしてくれるのに、今日はしてくれないんだ!あなたがそんな人だと思わなかった!」と言われ、罪悪感を抱き、今まで以上に不必要な援助を増やす、もしくは関わりを辞めるだなんてことは良く発生する場面だと思います
友人関係や配偶者の関係でも多く見られそうですよね
操作を受けた時の対処方法
どうですかね?思い当たる節はあったのではないでしょうか
この世の中、周囲を疲弊させる操作を行う人は非常に多いです
ぶっちゃけ自分も周囲に対してこのような操作を行った経験があるのではないでしょうか
ということで、操作を受けた時の対処方法について話していきたいと思います
逃げられる相手なら、逃げる
もーね、操作してくる対象が、離れられる立場の人なら離れた方が賢明だと思います
恋人や友人であったり、悪徳業者であったり、カルト宗教であったりした場合は、離れづらいかもしれませんが、離れられる存在だと思います
もうね、逃げれる相手なら逃げましょう
物理的に逃げられなくても、精神的には逃げられるとは思います
貴方の人生にいい影響を与えない可能性が高いです
短期的な行動変容は諦める
逃げられないことも多いですよね。特に配偶者や親類、同僚がそういう操作屋さんである場合は特に。
そんな時は間違っても短期的な行動変容を目指す関わりは辞めた方がいいのかなと思います
普通の人への行動変容を促すのも困難なのに、操作屋さんの行動変容を促すのなんて本当に至難の業です
ゆっくりじっくり長期的に愛を持って関わって行動変容を促していくくらいの気概じゃないと難しいのかなと思います。それか心理士などの専門職を頼るかですね。
それくらいの覚悟は必要なのかなと思います
対象の感情の目的を探る
基本的に人間って「他人を操作する」「自分を操作する」という場面において感情を使うと言われています
言い換えると、人の感情には目的があるとも言えますね
他人の感情を探ろうとしたときに、もしかしたら「この人は私を操作しようとしているのかもしれない」と思えるようになるかもしれません
自分の感情に気づく
逆に、自分の感情に気づくという視点も必要になってくると思います
自分はどうしてこの感情を抱いたのかなど、自分の感情を客観視することで、操作され狭まった視野が広がるかもしれません
この作業を中々出来る人は少ないのかなと思います
精神科従事者とか無意識になってる人多いと思いますけどね
あとはこの記事参照で
その他にも対応がありますが、別の記事で書いていますのでそちらを参照してもらえればなと思います
境界性パーソナリティ障害の方への対応が、その他操作屋さんへの対応に繋がる面が多いのかなと思います
まとめ
自分が援助対象から操作されていることに気づく方法というテーマで記事を書いてみました
他人の人生を大切に思う前に、まずは自分の人生を大切に思ってね!
またね!
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