なぜ認知症患者さんは夕方に「家に帰りたい」と言うのか【対応例付き】

なぜ認知症患者さんは夕方に「家に帰りたい」と言うのか【対応例付き】精神看護の実践


こんにちはー意識低い看護師のはむです


さてさて、私は精神科に勤務しております

精神科救急でも認知症患者さんの入院は多く、認知症の患者さんと日々関わりながら働いております

身体科の病院でも認知症患者さんと関わることは多いですよね



認知症患者さんって夕方ごろになると「家に帰りたい」なんてよく言いませんか?


今回はそんな夕方ごろに「家に帰りたい」認知症患者さんについて書いていきたいと思います



目次

スポンサーリンク
スポンサーリンク

夕暮れ症候群


さて、この認知症患者さんが夕方ごろになると「家に帰りたい」と言い始めることを

夕暮れ症候群

と言います

看護師の皆さんは「夕方だからなー、帰りたくなるよなー」なんて感覚的にわかっているこの症状、ちゃんと名前がついているんです


なんだかちょっと情緒的ですよね、この呼び方

割とこの呼び名自体は知らない人が多いのかなって印象です


これからこの夕方の帰宅欲求のアセスメントに【夕暮れ症候群】と書くとちょっと良いかもしれませんよ


正確に言うと【夕暮れや黄昏時に落ち着かなくなり認知機能の悪化が見られる】状態の事を言います

日照時間の冬季によく見られると言われていますが、年がら年中見られます

アルツハイマー型認知症の患者さんの20%に発生される報告している文献があります。またレビー小体型や脳血管型、前頭葉側頭葉型の患者さんにも見られるようです

なぜ夕暮れ症候群が起こるのか



夕暮れ症候群の主な原因は



・認知症の中核症状の【見当識障害】【記憶障害】により自分がどこにいるか分からなくなり不安を覚える

・認知症によるサーカディアンリズムの障害

・認知症により影や明るさの低下によっ知覚が障害されさらに認知機能が悪化し、不安を覚える

・夕方頃に空腹感を覚えそわそわする

・日勤深夜の申し送りのタイミングで患者さんとのかかわりが減少する

日勤者が帰宅していく時間である

夕方に帰宅するという生活習慣がある


などなどの原因があるとされています




【せん妄】と【夕暮れ症候群】の違い


わりとこの【夕暮れ症候群】ってやつ

たまに【せん妄】と混同している看護師さんがちょくちょくいます


んですが、【夕暮れ症候群】と【せん妄】は微妙に違うらしいです



夕暮れ症候群は

  • 夕方・黄昏時に発生
  • 中長期的に経過


であるものらしいのですが

それに対してせん妄は

  • 夕方以外にも発生
  • 急性に発生し比較的短期間に経過

という違いがあるそうです


混同すると何が問題なのか


さて、しばしば【夕暮れ症候群】に対して対症療法として抗不安薬や睡眠薬が使われることがあるようです
(エビデンスに乏しいらしいですけどね)

んですが、【せん妄】てベンゾジアゼピン系の薬を使用すると症状を悪化させてしまうことが往々にしてあります


だから「夕暮れ症候群かな?」と思ってベンゾジアゼピン系の抗不安薬などを頓服として与薬すると、症状悪化することが往々にしてあります


まーね!【夕暮れ症候群】と【せん妄】の違いって中々入院直後の患者さんなら分からないもんですしね!!

どちらにせよホイホイ頓服勧めないのが良いのかなぁどうなんだろうなあって思いながら日々患者さんと関わっています

夕方「家に帰りたい」という帰宅願望を訴える患者さんへの対応


ここでは夕方に帰宅願望を訴える患者さんへの対応について書いていこうかなと思います

これは私が患者さんに行っている対応であり、私も「これでいいんかな?」と思って対応していますが「その対応はどうかと思う!!」って思う方もいるかもしれません、ご了承ください

あくまで参考程度にお願いします


あと下記に書く対応は【精神科救急病棟で認知症患者さんに行っている私の対応】です


「そんな関わり方する時間ないわ!!!」って意見が多発することは必至なので釘さしておきますね

午睡の防止


できるだけサーカディアンリズムを整えてもらうため午睡を避けていただく対応は行っています


言葉でいうだけなら簡単なのですが、実際巡視時に午睡を発見すると

「まーいっか・・・夜寝られなかったもんね・・・」

となる心優しき看護師さんがたまにいますので注意です

私も思ってしまいがちですが心を鬼にして起きてもらい、午睡を防ぐ取り組みをします


たまに「んー起きてると賑やかだから、昼寝しててもらおっか!!」なんて看護師さんもいますが、夜がパラダイスとなることが多いので辞めておきましょう


できれば関わる


ポツンと一人でたたずんでいる認知症患者さんがいたり、帰宅欲求を訴えたりする患者さんがいたりするときは

出来る限り関わるようにしています

会話も勿論しますが、本人と一緒に広告を見たり計算や色塗り、折り紙などをしたりすることが多いですかね

帰宅願望への注目をそらすことはできますし、人と関わる事で安心感は出るのかなと思って対応しています


お茶を飲んでもらう


「まーまー、お茶でもどうですかね」

と声掛けしたりする時もあります

夕方頃って空腹感も出て患者さんが焦燥感を覚える時間でもあると思いますので

声掛けでお茶を飲んでもらえる患者さんに対してはお茶を出すようにしています

もしかしたら空腹感が少し和らぐかもしれないですしね

お茶を出して終わりじゃなくて、できればお茶を飲んでいる場面でも一緒に過ごすようにしています


カーテンを閉める


夕日がバンバン入ってくる病棟だったりすると私はカーテンを閉めちゃうことが多いです

まぶしい夕日も刺激になりますし
より夕方を感じてしまう要因になるのかなって思っています


逆にカーテンを閉めて暗くなることで、不安感が強まり帰宅欲求が増強する患者さんもいますが

その場合には逐一記録を残すようにはしています


頓服の使用・経過の記録

あまりに焦燥感や不穏が強く関わりだけではとてもとても対応困難だなあと感じた場合には

主治医の指示で出ている頓服薬をおススメする時はあります


それである程度収まる患者さんもいれば、症状悪化する患者さんもいます


どちらにせよ詳細な経過の記録を残すようにはしています

出来れば他の職員にも目に留まってもらえるような記録を書こうとは思って取り組んでいます


さすればその患者さんの対応についての突破口が見えてくるかもしれません


ちなみに他のかかわりの時も詳細な記録は残すようにしています


まとめ


ってことで今回は【夕暮れ症候群】【帰宅願望を訴える患者さんの対応】について書いてみました


いつもごとく参考文献を貼っておきます


よければ購入してみてください


認知症患者さんの対応も、他の精神疾患の患者さんと同様に答えはなく難しいなと思っています

textbook
https://notautinurce.com/2021/08/28/textbooks/

実際の看護について書くのもホントにケースバイケースであまり参考にならなかったとは思いますがご了承ください


では!!!!



コメント

タイトルとURLをコピーしました