【精神科医療従事者必修】クライシス・プランとは何か【精神科医療保健福祉に関わる職種の方へ】

精神看護の実践

こんにちはー意識低い看護師のはむです

みなさん、クライシス・プランという精神科医療保健福祉の界隈で注目の集まっているのツールはご存じでしょうか?

クライシス・プランは強制入院を防ぐ上で最も有望である」とも結論付けされているこのツールです

何やら気になりませんか?

今回、精神疾患に関わる全ての領域・職種の方に向けて、このクライシス・プランというツールのご紹介をさせていただきます

特に精神科救急や社会復帰、精神科訪問に携わっている方で知らない方は見ていただきたいなぁと思います

とは言いつつも、私自身、まだまだ技術・知識不足のところもありますので、今回は紹介って形でよろしくおねがいします

参考文献は以下の冊子です

目次

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クライシス・プランとは


クライシス・プランとは【精神疾患の方と医療従事者などの支援者が協力して病状の安定を目指すためのツール】です

WRAP(元気行動回復プラン)のひとつであると言われています

※8/28追記
上記記載は私の認識間違いでした
クラプラネットの主催、野村氏よりご指摘をいただきましたので、コメントを引用させていただき訂正させていただきます

私たちが作成したクライシスプランの冊子はイギリスを中心としたクライシスプランの取り組みと医療観察法、一般精神保健福祉の実践を通じて作り上げてきたものです。
一方WRAPはアメリカで当事者のメリーコープランドさんが生み出した自助の方法になります。名前は同じクライシスプランでも、歴史的には異なるので、その点だけお伝えさせていただきます。


  • 安定した状態(青)
  • 注意状態・具合が悪くなり始めた(黄)
  • 要注意状態・具合の悪い状態(赤)

と分け、各段階ごとの自分の状態や維持する方法、対処法について当事者と援助者と共に話し合いながら書いていくといったものになります



対象は統合失調症やうつ病、双極性障害などなどの精神疾患を抱えた方とされています。デイケアや訪問看護を利用している方に適しているそうですが、精神科救急・急性期病棟や社会復帰を目指す方にも有効とされています。

  • 症状の波がある方
  • 病状悪化を防ぎたい方
  • 就労などのチャレンジをしたい方
  • 具合が悪い時にどうしたらいいか分からない方

そういった方と関わる際に役立つツールです

精神疾患を持つ患者さんでこれらの悩みを持つ人っていっぱいいるでしょ?じゃあ、これを導入してみたらどうかな?ってのが私の意見です

クライシスプラン作成の手順

以下にクライシス・プランを作成する時の手順をざっくり書きます

あくまで手順というだけですので、このブログを見ただけではクライシスプランは作成できないと思いますので、注意してください

あくまでこの記事は【紹介】です

目標の確認

まず、当事者の方と目標の確認をします

  • 就職して働きたい
  • 再入院しない
  • 1人暮らしをしたい
  • 結婚したい
  • 安定した状態を続けたい
  • 退院したい

などなど、当事者一人一人に目標があると思うので、そこを共に考えていきます

また当事者の方がどんな活動をしている時が心地よいと思うのか(部屋にいるとき、趣味をしている時など)についても話し合います

状態の確認

次に状態について話し合います

前述しましたが

当事者の方が安定しているといえる状態はどんな感じの時なのか

具合が悪くなりそうなときはどんな感じなのか

具合が悪くなった時はどんな感じなのか


各期にどういう行動をとり、どのような気持ちを抱いているのか

できるだけ具体的に作成シートに記入していきます

対処法の確認

次に対処法の確認です

安定した状態を続けるため、具合が悪くなりそうになったり、悪くなったりしたときに、どういう対処法をしていくのかを作成シートに記入していきます

主に行動系の対処方法(音楽を聴く・頓服を飲む等)と認知系の対処方法(無理をしないよう心掛ける、幻聴と会話しないようにするなど)

について話し合っていきます

対処方法が分かっていれば、早期治療・早期介入に役立てますもんね

ストレスの確認

次はストレスの確認です

ストレスが精神状態を悪化させるきっかけとなるので、ストレッサーとその対処方法について話し合います

対処方法についても先ほどと同様に行動系の対処方法と認知系の対処方法があります

案外、精神状態の悪化をもたらしたストレスに関してピンとこない当事者の方も多いので、その場合は精神状態悪化したとき、どんな出来事があったか、どのような苦労があったかを振り返ってみると良いかもしれません

症状悪化時の希望の確認

次に症状悪化時の希望の確認です

分かりやすく言うと、精神状態悪化時に冷静な判断をするのが自分では難しくなるから、自分の周囲にどのような事をしてほしいかについて話し合っていくと捉えてもらったらいいのかなと思います

  • 医療従事者にしてほしい事、してほしくないこと
  • 支援者にしてほしい事、してほしくないこと
  • 自分の考えを代弁してくれる人
  • 避けたい薬や治療
  • 関わってほしい人、関わってほしくない人
  • 入院のタイミング

などなど、様々な当事者の方の希望があると思いますので、そこに関して話し合っていきます

この辺、わりと当事者と援助者のずれが生じる部分だと思います。そのずれをすり合わせたり他職種と相談して具体的に決めていくのが良いかもしれません

周囲から見た状態と対応の共有

次は 周囲から見た状態と対応の共有 をします

分かりやすく言うと医療従事者などの支援者はどのように当事者を見えているかを当事者と共有することと捉えてもらったらいいのかなと思います

ここで、上記にあげた状態への対処法などの提案を行います

強制ではなく、あくまで当事者と支援者の合意のもと作成シートに記入していくのが大切なのかなあと思います

セルフモニタリング表の作成

この辺で作成シートは埋まってきていますので、それを元にセルフモニタリング表の作成をします

当事者と援助者と一緒に作っていきます

セルフモニタリング表を使って当事者が自分の状態を客観的に見てもらう方策です

チェック頻度や方法などは、あくまで当事者の負担にならないような設定で行うのが大切なのかなぁと思います

クライシス・プランの共有

作成したクライシス・プランを誰と共有するか、誰と共有したいかを話し合います

医師、看護師、PSW、家族、その他地域職員など、クライシスプランを共有できる人がいると、このプランはさらに役立つものになります

また、支援者を明確化することもできるので良いですね


クライシス・プランの活用

クライシス・プランを作成したら次は活用ですよね

クライシスプランは

  • 当事者と支援者が一緒に活用する(診察や面接のときなど)
  • 当事者自身が活用(セルフモニタリング)
  • 支援者の連携で活用(カンファレンス)

などなど、幅広い用途で使用できます

また活用していくにあたってクライシス・プランの加筆修正が必要になるタイミングもあります

  • 当事者の病態とそぐわなくなってきたとき
  • 病状悪化を食い止められなかったとき
  • 当事者の思いの変化があった時
  • 問題が生じた時
  • 定期的な見直し

などで適宜加筆・修正をしていきます

クライシス・プランに興味を持たれた方へ

どうですか?わりと興味出てきましたか?この介入方法

もし興味がありましたらクライシス・プランの公式HPがあるので、是非一度足を運んでみてはどうでしょうか

私が参考資料とした上記冊子の入手方法(ちなみに無料です)や実際に用いるクライシス・プラン作成シートなどの資料が手に入ります

また研修会などのアナウンスもしているので、良ければ是非一度HPに訪れてみて、会員登録してみては如何かなと思います

会員登録も無料です。下記のリンクから是非どうぞ!私も会員です!

クライシス・プラン研究会 ークラプラネットー

紹介は終わりましたので、もうこの記事を終えても良いのですが、私が実際にクライシス・プランというツールを使ってみた感想やお勧めの練習法を書いていきますので、興味あれば以下を見ていってください

textbook
https://notautinurce.com/2021/08/28/textbooks/

意識低い看護師のクライシス・プランを使ってみた感想

んとねー!

クライシス・プラン、めっちゃ良い介入方法だと思うんですよ!

ただ、めっちゃ難しいし技術がいるなぁと思った次第です

私は病院勤務なので、当事者とは言わず患者さんと言いますが

患者さんと医療者のずれが激しい場合が多くて、中々すり合わせる技術に乏しく、情けないなあと思いながらも実践しています

他にもいろんな失敗を重ねています

なので、場数を踏んで経験値を高め、知識・技術を高めていく必要のある介入方法だなぁって思っちゃったりしてます



私の勤務している病院ではこのツール導入されていません

よってバイザーもいません

私が研修参加したり、本を読んだりして独学で主治医に許可を得て患者さんの意向を確認したうえで個人的に実践しているといった状況です


なので、このブログをクライシス・プランの紹介という形に留めておくことにしました


上記にだした大日本住友製薬の出しているクライシス・プランの無料冊子を手に入れた方がいましたら、一度自分や家族、同僚のクライシス・プランを作成してみてはどうかなと思います

その過程を経るだけで結構使用感が違ってくると思うので、練習したいという方は是非、実践してみてください

以上!意識低い看護師による感想でした!



コメント

  1. 野村照幸 より:

    こんにちは!
    クラプラネットの野村です。
    詳細な記事を書いてくださり、私も学びになりました。
    一点だけお伝えしたいことがあり、ご連絡させていただきました。
    私たちが作成したクライシスプランの冊子はイギリスを中心としたクライシスプランの取り組みと医療観察法、一般精神保健福祉の実践を通じて作り上げてきたものです。
    一方WRAPはアメリカで当事者のメリーコープランドさんが生み出した自助の方法になります。名前は同じクライシスプランでも、歴史的には異なるので、その点だけお伝えさせていただきます。
    これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。

    • hamu より:

      ありがとうございますー!!そうなんですね!無知ですみません、直させていただきます!これからもよろしくお願いいたします!!

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