【強制入院】について精神科看護師が忘れてはならない視点

【強制入院】について精神科看護師が忘れてはならない視点精神看護の実践

こんにちはー意識低い看護師のはむです

さて、以前こんなツイートをしました

さて、皆さんはこのツイートについてどう思いますか?

「入院治療中に何を言っているの?」

「精神科ではそんなひどい扱いを患者さんにしているの?」

「入院のこと理解できていないの?」

「自分が精神疾患であるという事は分かっていないの?」

感想は色々あると思いますが、今回は【強制入院】について精神科看護師が忘れてはならない視点というテーマで書いていきたいかなと思います


目次

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医療保護入院とは

さて、精神科では医療保護入院という本人の同意を得られずとも入院させることのできる入院形態があります

  • 精神保健指定医の診察により、入院の必要があると認められること
  • その患者さんの家族等(配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人)のうち、いずれか、もしいなければ市町村長の同意があること

が入院の条件となっています

精神保健福祉法第33条に記載されているものです

全国の精神科に入院している患者さんの約半数(精神保健医療福祉に関する資料 630調査より)を占める入院形態です

この入院形態では患者さんの意志では退院もできず、医師の許可が必要となります

他にも強制入院と言えるもので緊急措置入院や措置入院などの入院形態もありますが、その説明はここで省きます。

この入院形態を頭に置いてもらってからここからの記事を読んでもらえたらなと思います

病識

さて、精神疾患を持つ患者さんの中で、自分が精神疾患であることが分かっている人、精神疾患だと分かっていない人がいます

我々は、患者さんが自分が精神疾患であることを把握できているかを病識の有無と言います

一口に病識と言っても

・通院や薬物治療を受けているが自分の精神疾患や症状には気づいていない人

・自分を精神疾患だと気づいておらず、症状も大したことは無いと自分では思っているため治療を受け入れない人

・病気を受け入れていないが、外的圧力(家族や社会資源)で仕方なしに通院している人

・自分の精神症状を内面的なものと認識(現実世界ではありえないことを分かっている)しているが、外的要因(内服薬やストレスのせいである)から来るものと思い込んでいる人


・そもそもの認知機能低下で精神疾患を認知できない人

などなど、挙げるだけキリがありませんが、とにかく病識の無い精神科の患者さんは多いです

そういった経緯で我々は、患者さんの病識の獲得に向けた介入に取り組んでいくわけです

ある日突然収容された

さてさて、皆さんに質問ですが

今このブログを眺めている瞬間、家族に買い物等の外出を誘われたとして、家族についていった先が得体の知らない施設で

そこで何故か診察を受け、白衣を着た男性から入院を告げられ、逃げようとしてもこれまた白衣を着た人間達が自分を取り押さえた時、どう思いますか?

んで、収容されまいと暴れたら鍵のついた部屋に押し込まれ、「あなたは心の病です」と謎の薬を渡されて、飲まなければ場合によれば注射を打たれて

暴れると逆効果だと思って静かにしてたら、部屋から出れて。

部屋から出られたと思ったら、外に出られない鍵の掛かった施設であることが判明して、携帯も触れず、何か不思議なことを呟いている人もいて・・・


どう思います?有り得ないでしょ?

警察に通報したいと思うでしょ?弁護士に相談したくなるでしょ?

それが健常な反応だと思います


そして、それが病識の無い患者さんの入院したときの一通り体験だと思っても差し支えないと思います

って考えたら、別段おかしな反応では無いですよね?健常な反応じゃないですか?

特に未治療の統合失調症の患者さんや認知症の患者さんだったりだとかはそんな思いは強いかもしれません

もちろん、入院患者さんによって受け取り方は全然違うんですけどね

精神科看護師に必要な視点

上記の視点を持つことが精神疾患を持つ患者さんに関わる上で必要な視点であると思います

その視点が無い状態で関わる事で患者さんのアセスメントや看護師の感情は変わってきますよね



例えば入院したての隔離観察中の患者さんに暴力を振われそうになった時に、上記の視点を持たないと

「なんてことをするんだ!ひどい奴め!」という思うかもしれませんし、【暴力リスク高、隔離解除後も一定の距離感を保ちつつ暴力アセスメント継続の必要性あり】とアセスメントするかもしれません

上記の視点を持っていると

「ああ、入院直後で不安も強いかもしれない。不注意に距離を詰めた自分も軽率であった」と思うかもしれませんし、【入院直後の急な環境変化による心理的な反応か。今後の対応にて治療的関係構築を目指し、暴力リスクアセスメント行っていく】とアセスメントするかもしれません

※分かりやすくするため非常に極端な例を書いています。ご了承ください。

上記に例を挙げた初期対応によっては患者さんの今後の方向性や治療方針まで変わってくる可能性があります

あくまで健常な人間としての反応なのか、それとも精神疾患から引き起こされる反応なのか、その見極めは精神科看護師をする上で非常に重要な視点になっています


なんでこんな記事を書いたのか

んまーねー

精神科経験の無い人にこの視点を持つべきだというのは、そりゃあ無理だろうとは思うんですよね

こーゆーのってホントに実際対峙してみないと分からない空気感だったりします

でもね?わりとこの視点を持っていない精神科看護師も一定数存在しています

必ずしも必要とまでは言いませんが、1視点として持っていてもいいだろうとは思います

「慢性期病棟にその視点はいらないだろう」なんてことを言われたこともあるんですが、そもそも慢性期病棟に入院している患者さんでどれだけの人が病識についてのアセスメントがなされているんでしょうね

勿論認知機能障害が著しい患者さんや、解体した患者さんもいるとは思うので皆に実施できるとは言わないですけどね


んでも非常に問題なんじゃないかなって思ったので今回記事を書いてみました。

またね!



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