意識低い看護師が送る、超わかりやすい日本一意識低い【抗精神病薬】の解説

意識低い看護師が送る、日本一意識低い【抗精神病薬】の解説精神看護の実践

こんにちはー意識低い看護師のはむです


今回は精神科医療でよくメジャーと言われる【抗精神病薬】の説明をしていきたいと思います

この【メジャー】って言葉を頻繁に使う精神科医療従事者は多いです

「ああ、メジャー減らしてるから調子悪くなってきたか・・・」
「今回の入院でマイナー全部無くしてメジャーだけにするんだってさー」
「この人メジャーめっちゃ飲んでるな・・・」
「メジャー行き過ぎじゃね?患者さんグデングデンよ?」


みたいな感じで日常的に使われます

ってことで「精神科看護師なら大体どういうもんか知ってるじゃろー」と思って先日


こんなツイートをしたのですが

「そのメジャーが分からない」
「メジャーとマイナーって何?」


みたいな反応があり、周りの年数浅めの精神科看護師に聞いてみると「何の話してるか良く分からなかった」って言葉があったので今回この記事を書いてみることにしました

あれです、精神科ではもはや常識レベルだと思っていたのですが・・・

そりゃあね!精神科に来て年数浅い人なら知らない人もいるよね!

ってことをひしひしと感じました

そりゃあ説明されてなきゃ分からん人もいるかてー
ってかメジャーって言葉今は使わんくなってきてるんかーいって思ったので

無知の発信の反省として今回、記事を書きたいと思います


精神科に来てまだ年数浅めの新人看護師さん!この記事を読めば大体の【抗精神病薬】意味が分かるかもしれません
身体科の看護師さんも良かったら見ていただければなーって思います

意識低く説明しまーす!

※意識低いため間違った知識を発信してしまっている可能性があります。間違ってたらTwitterかなんかで突っ込んでください

それでは早速行ってみましょう

目次

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抗精神病薬=メジャートランキライザー


【メジャー】は【メジャートランキライザー(Major tranquilizer)】という言葉の略語です

メジャー = 主要な   トランキライザー = 精神安定剤

という意味になります。メジャーもあるからにはマイナートランキライザーもあるんですが今回の記事では説明を省きます。

一般に鎮静力の強い精神安定剤を【メジャー】、鎮静力の弱い精神安定剤を【マイナー】なんて昔は分類されておりまして、今でもその呼び名は現場に根付いています

ちなみにメジャーとマイナーは全然作用機序の違う薬なので、気を付けて下さいね!

んで、鎮静力の強い精神安定剤は何ぞやって話しなんですが


今では【メジャー】の事を【抗精神病薬】なんていったりしますね!

この言葉ならなんか聞いたことありませんか?

身体科でもよく出る【リスペリドン】やらその辺の薬の事です

精神科ならおなじみですよね?


ていうことで精神科看護師の先輩が「メジャー」って言っている場合は大リーグの事でもメモリ付きの巻き尺のことでもなく抗精神病薬のことって覚えておいてくださいね!

抗精神病薬って何?



抗精神病薬は統合失調症の治療薬です


どういう薬なのかというと

ドパミンD2受容体を遮断することで、めっちゃ興奮した脳内の神経活動を落ち着かせる

って覚え方で良いのかなと思います

統合失調症って脳の中脳辺縁系でのドパミンの分泌・活動の異常から陽性症状が出るって言われてます。抗精神病薬はそれを抑える薬なわけです


そんな抗精神病薬には昔からよく使われている【定型抗精神病薬】と比較的新しい【非定型抗精神病薬】の2種類に分かれています。


定型抗精神病薬


定型抗精神病薬は昔っから(発見は1952年)使われている薬です。

ドパミンの受容体を遮断することで、陽性症状の改善効果が強く現在でも使用されています。

ですが現在の精神科医療では主流治療薬ではありません


理由としては、脳全体のドパミンを抑えてしまうことにあります

中脳周辺系のドパミンが抑えられて陽性症状は改善するのは良いんですけど

・中脳皮質系のドパミンが不足すると陰性症状
・黒質線条体のドパミンが不足すると錐体外路症状
・視床下部下垂体系のドパミンが不足すると、高プロラクチン血症


が起こっちゃうんですよね


よく定型抗精神病薬は陰性症状には効果が無いと言われますが、上記の理由です
あと、定型抗精神病薬は副作用が強いとも言われている原因となります

副作用についてはまたあとで後述します


そんなわけで今ではあまり使われていません


そんな定型抗精神病薬には3種類ありますのでその3種類を紹介して、定型抗精神病薬の説明を終わりたいと思います

■ブチロフェロン系

薬:セレネース(ハロペリドール)

特徴:ドパミン受容体遮断作用が強いよ!
   陽性症状に効果的だよ!
   錐体外路症状や高プロラクチン血症などの副作用はよく発生するよ!


■フェノチアジン系

薬:コントミン(クロルプロマジン)、レボトミン、フルデカシン

特徴:いろんな受容体にも作用するよ!
   鎮静作用が強いよ!睡眠薬としても使われるよ!
   陽性症状にはブチロフェロン系と比べると効果は低いよ!
   色んな受容体に作用するからそれに付随した副作用発生しやすいよ!


■ ベンザミド系

薬:スリピリド(ドグマチール)、スルトプリド塩酸塩(バルネチール)、チアプリド塩酸塩(グラマリール)

特徴:ドパミン受容体遮断作用があるよ!
   抗うつ薬として低用量処方されることもあるよ!
   高用量で抗精神病作用があるよ!

非定型抗精神病薬


非定型抗精神病薬は比較的新しめな抗精神病薬であり、統合失調症治療でも主流で使われているものになります

定型抗精神病薬との違いはざっくり言うと

ドパミンだけ抑制すると他の部位のドパミン分泌も障害されちゃう!でもセロトニンをブロックしたら中脳辺縁系以外でのドパミンの働きを高める作用があるらしい!副作用も軽減するし、陰性症状も改善されるね!やったね!

みたいな感じです

定型抗精神病薬を改良したものが非定型抗精神病薬だと思っていただければいいのかなって思います。

ただ全く副作用が無いわけではなく、定型と同じくモニタリングが必要な薬です


以下にどんな薬があるか書いていきます


SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬)

薬:リスペリドン、ロナセン、インヴェガ、ルーラン、ラツーダ

特徴:ドパミンとセロトニン遮断作用があるよ!
   リスペリドンは非定型の中でもドパミン遮断作用が強いから、陽性症状に対する効果は高いんだけど、それに付随した副作用(錐体外路症状や高プロラクチン血症)が起きやすいって言われているよ!
   ロナセンは別名DSAとも言われてて副作用が起こりづらいと言われているよ!詳しくは調べてね!
   インヴェガは徐放剤だから1日1回の内服で済むよ!
   ルーランは抗不安作用もあるよ!
   ラツーダは現状(2021年)で一番新しい抗精神病薬だよ!SDAで初めて双極性障害のうつ状態に適応を得た薬だよ!私は未だに見たことないよ!
  


MARTA(多元受容体標的化抗精神病薬)

薬:ジプレキサ(オランザピン)、クエチアピン(セロクエル)、シクレスト、クロザリル

特徴:ドパミン・セロトニンの他に様々な受容体に作用するよ!
   鎮静作用や催眠作用が強いって言われているよ!
   体重増加の副作用があって、糖尿病の人には使用しないよ!
   オランザピンは鎮静作用が強いって言われているよ!
   クエチアピンは陰性症状が目立つ患者さんに適していると言われてるよ!オランザピンと比べると錐体外路障害のリスクは少ないと言われているよ!
   シクレストは舌下錠だよ!内服してから口腔内に10分留めないと効果が発現しないよ!MARTAだけどSDAに近い作用をすると言われてるよ!
   クロザリルは重篤な副作用が起きやすいって言われてるから内服している人のモニタリングはめっちゃ必要だよ!でも治療抵抗性の統合失調症(色んな抗精神病薬を投与して効果に乏しい統合失調症)に適応があると言われてるよ!




DSS(ドパミン受容体部分作動薬)

薬:エビリファイ

特徴:ドパミン過剰の時はドパミン遮断もするけど、ドパミン不足の時は受容体を部分的に刺激して陰性症状も改善させるよ!ドパミンを整える薬と言ったら良いのかもね!
   セロトニンにも部分作動させるから抗うつ薬としての適応もあるよ!
   ドパミンを遮断しすぎないからそれに付随した副作用はおきづらいと言われているよ!
   アカシジアっていうじっとしてらんない副作用は発生しやすいと言われているよ!
   鎮静効果は弱いと言われているよ!
   


SDAM(セロトニン-ドパミン・アクティブ・モジュレーター)

薬:レキサルティ

特徴:DSSの改良版だよ!
   DSSと比べセロトニンに対してより作用する薬だと思ってもらえばいいと思うよ!
   ドパミン受容体に対する作用はDSSより弱いから鎮静効果はDSSより低いよ!
   副作用がDSSよりもっと起きにくいと言われてるんだ!
   アカシジアは発生しやすいって言われてるよ!



※ゾテピン(ロドピン)っていう抗精神病薬もあるんだけど、文献によって定型抗精神病薬(ベンザミド系)と言われたり非定型抗精神病薬(SDA)と言われてたり、なんかマチマチだよ!



持続性注射剤(LAI)

統合失調症の治療には持続性注射剤(LAI)というのがあります

これは2週間~1か月に一度筋肉注射を行うことで抗精神病薬の効果が持続するってやつです

飲み忘れによる症状の悪化を防ぐことが出来ますし、毎日薬を飲まなければならないという統合失調症患者さんの苦痛を和らげることのできる薬です
服薬拒否の見られる患者さんに導入されることも往々にしてありあすが、そもそも外来に来ない患者さんも多いので、そういう患者さんに導入するのもどうなんだろってたまに疑問視してます

その反面、微調整が出来ない、薬を中断しても体に残っているため副作用はある程度継続するなどのデメリットもあります

あと、非定型のLAIは割と良いお値段のする薬なので、取り扱いをミスって薬剤を台無しにしたときにはもう絶望感が半端ないです


定型抗精神病薬のLAIは以下2つ

ハロマンス:セレネースの持続注射剤
フルデカシン:フルデカシンの持続注射剤


非定型抗精神病薬のLAIは以下3つ

リスパダールコンスタ(リスパダールの持続注射剤)
ゼプリオン(インヴェガの持続性注射剤)
エビリファイ持続性水懸筋注用(エビリファイの持続性注射剤)


※セレネース(ハロペリドール)・レボトミン(ヒルナミン)・ジプレキサなどを注射することがありますが、こちらは即効性を期待するための注射なので持続性注射剤ではありません。



抗精神病薬内用液


抗精神病薬では内用液になっているものがあります

錠剤よりも即効性があり、すぐ内服できるので不穏時の頓服として処方されていることが多いです


セレネース・リスペリドン・エビリファイの内用液が販売されてます


セレネースやリスペリドンの内用液は陽性症状や鎮静目的で使用することが多く、エビリファイの内用液はドパミンを増加させて倦怠感などを軽減させる目的で使用するって誰か言ってました





閑話休題

もうみんな薬の名前ばっか見て疲れてきたよね!
でも大丈夫!書いてる意識低い看護師はもう嘔吐しそうになりながら書いてるよ!
もう疲れてきたよ!
でもあともうちょっとだから!一緒に勉強しようね!

抗精神病薬の副作用について


さて抗精神病薬ですが、勿論副作用はあります
ドパミン受容体を遮断することで起こる副作用は前述しましたが、それ以外に副作用はあります

精神科の看護師は精神状態だけじゃなくて患者さんに起こっている副作用も観察して医師に報告する必要はあります。故に副作用についてはちゃんと知っておいた方が良いです

以下に副作用の一覧と軽く副作用の原因について書いていきます



・陰性症状:意欲や関心の減退

中脳皮質系のドパミンが不足すると起こるって言われているよ!



・錐体外路症状(EPS)

黒質線条体のドパミンが不足すると起こるって言われているよ!錐体外路障害って具体的に何かというと

 振戦:手指の震え
 筋強直・ジストニア:筋肉がこわばるよ!筋強直が亢進して、奇異な姿勢になるのをジストニアって言うよ!
 アキネジア:随意運動が出来なくなるよ!
 アカシジア:足のそわそわ
 ジスキネジア:口をもぐもぐさせたり、舌が出たり入ったり、歯を食いしばったりするよ!

こんな感じです!

副作用止めとして抗コリン薬(タスモリン・アキネトン(ビペリデン塩酸塩錠)・アーテン(トリヘキシフェニジル塩酸塩)・ヒベルナ(プロメタジン塩酸塩))が一時的に使われることがあるよ!

長期投与の人の患者さんとかは遅発性ジスキネジアが起こることあるけど、これは不可逆的な副作用だよ!薬を止めても収まらないよ!




・高プロラクチン血症:乳汁分泌、生理不順、無排卵

視床下部下垂体系のドパミンが不足すると起こると言われているよ!



・骨折

高プロラクチン血症は骨密度の減少を招くって知ってた?

転倒時の骨折のリスクは精神科はわりと高いから注意だ!



・鎮静、ふらつき、起立性低血圧

血圧を調整するアドレナリンa1受容体に作用しちゃうことが原因って言われているよ!

高プロラクチン血症で骨が脆くなっているのに、さらにこの副作用で転倒しやすくなっててさらに骨折しやすくなるんだ!

入院患者さんの転倒ってそんだけヤバいから、スルーしたりもみ消したりしないでね!




・便秘

抗精神病薬がムスカリン受容体を遮断しちゃうことでアセチルコリンの働きを阻害するため起こるって言われてるよ!抗コリン作用って覚えておいてね!

ほら!リラックスできない時って便も出ないよね!そんな感じのイメージで!

便秘とは侮るなかれ!麻痺性イレウスを起こす可能性もあるからちゃんと排泄状況の確認は大切だよね!



・口渇

これも抗コリン作用だよ!口渇は統合失調症患者さんの水中毒を引き起こす原因の一つにもなるよね!

低ナトリウム血症には注意だ!



・尿閉や尿失禁

これも抗コリン作用だよ!



・眠気

抗精神病薬が抗ヒスタミンHi受容体を遮断しちゃうことで起こると言われているよ!

風邪薬や花粉症薬で眠くなるのとおんなじ原理って覚えたらいいと思うよ!




・体重増加

抗ヒスタミン作用や抗セロトニン作用で起こるって言われているよ!

非定型抗精神病薬の方が出やすいって言われるんだ!特にMARTAに起こりやすいよ!

オランザピンは糖尿病患者さんに禁忌ってのはよく国試に出るかもね!






・悪性症候群

発生器所は未だに不明と言われているけど、めちゃくちゃ重篤な副作用だよ!

高熱・頻脈に加え振戦・流延などが見られたらすぐに医師に報告だよ!

適切に対処しなければ急性腎不全や多臓器不全で死に至る可能性もあるよ!

詳しくはちゃんと調べてね!!!!




・QT延長症候群

抗精神病薬の副作用でQT延長症候群ってのがあって、これは心室頻拍っていう致死性不整脈を引き起こす前症状って言われてるよ!

精神科の患者さんも定期的に心電図をとらなきゃいけないよね!



・静脈血栓塞栓症

抗精神病薬を内服している患者さんは静脈血栓塞栓症を引き起こしやすいと言われているよ

入院時にD-ダイマーを確認するのはこんな理由があるんだよ!!



おススメ書籍



でも、もっと抗精神病薬について詳しく知りたいって方は以下の書籍をお勧めします

上記の患者さん・ご家族・支援者のために 統合失調症薬物治療ガイドは是非精神科看護師を名乗る、なりたい人には読んでもらいたい一冊になります


↑は2巻です。主に精神科の薬のことについて書いてあります。
1巻も合わせてどうぞ!↓



まとめ

今回は抗精神病薬についてまとめてみました

大分意識低く書いてしまったのでツッコミどころ満載かと思いますが、ご参考にしていただければと思います・・・



ちかれた・・・


では!ありがとうございました!

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